雑木林につつまれて住む。
緑につつまれたゆるやかな時をかさねる住まい
敷地の厳しい法規制をポジティヴなデザインソースとして考えた建築です。扇形をした傾斜地を活かし、半分埋まったコンクリート造の地下1階と木造の地上1階建ての計画です。地上のリビングダイニングは道路向こうにある借景を横長のリボンウィンドウで望み、南庭の緑は出窓の開口部から眺められ、半地下の寝室と浴室からも緑と触れ合えます。狭小だからこそ味わえる周囲との自然のつながりを持てる住まいです。爽やかな風のなか、木漏れ日の移りとともにゆるやかな時をかさねる住まいができました。






























愛知県名古屋市
敷地:閑静な古くからの住宅地、緩やかな扇形の傾斜地、道路の向かい側の借景
竣工:2010年12月
用途:戸建て住居
家族:夫婦
構造:地下1階(鉄筋コンクリート造)+地上1階建て(木造)
敷地面積:163.05㎡(50坪)
延床面積:83.99㎡(25坪)
地下1階:41.12㎡(12坪)
地上1階:42.87㎡(13坪)
撮影:鈴木研一
受賞:中部建築賞 2012年
すまいる愛知住宅賞 2012年
掲載:[家家] (いえいえ)/人人ネット
“生きた証”となる建築
10数年前に購入された敷地は、長い間八事の街を歩いて探されたそうです。この環境の中で“生きた証”となる「心のオアシス」をつくることを希望されました。
敷地形状と周辺環境を活かした提案
敷地は名古屋の中で閑静な住宅地となります。周囲のお屋敷とは規模の違う小さな敷地ですが、幅広の下り道路の角地にあるため目を引く場所です。 建蔽率30%、道路境界から2m 隣地境界から1.5 mの壁面後退と緑化地域指定・緑地率30%は、変形した小さな敷地(約50坪)では難しい課題でした。この条件をポジティヴにとらえ敷地形体と同じプラン形体で傾斜地に埋め込むと、周辺環境を活かした対話が可能になりました。ゆるやかにカーブした形は、外観デザインの特徴と共に室内を陽光と風で柔らかく包みこんでくれます。
緑と光を取り込む開口
北東に開かれた角地面は1階のリビングダイニングのリボンウィンドウから借景を望め、 隣家の迫った南面はベンチ沿いの出窓から庭の緑とふれあい、午前中の陽の恵みは南東角突端にある大きな窓から陽光をもらいアールの壁で奥に誘い込むことが出来ます。地階は寝室前の三角テラス、そのテラスに面する浴室があります。浴室上にあるにはカフェテラス、ハシゴ階段上のロフトから上がって朝日と空を望む天の間は、建て主の希望から生まれた遊び心のある空間です。
竣工後、「季節の変化を感じることができ、毎日幸せに暮らしています。」と感想をもらいました。